今回ご紹介する「パン屋の富田」は、現オーナーが子どもの頃からお母様が営んでいたパン屋さんがルーツになっています。地元の皆様に愛されるコミュニティスペースになっていました。
そんなお母様の気持ちを忘れないため、現在はカフェに変身したお店にあえて「パン屋」の名前を受け継いでいるそうです。
今も年齢性別を超えて愛される地元の名店です!
大磯駅から線路沿いに小田原方面へ
駅のホームの端には、SLが走っていた頃の低いプラットフォームの名残が残っています。線路を右に見ながら歩きます。
途中、線路をくぐることのできるトンネルがあります。そこの交差点の左側にある大磯小学校を超えて、さらに進みます。
鍼灸院の看板が見えたらその隣が目的地のお店です。
天気の良い日には店頭のテラス席もお客様で満席になります。
地元の画家の方のイラストとお母様の肖像を見てお店に入ります。
会話が弾み笑顔が絶えない店内
お店の中は、清潔感あふれる爽やかな雰囲気です。
壁には、このあたりに住まれていた島崎藤村先生と吉田茂翁のイラストと共に、3種類のお勧めのブレンドのコーヒーが紹介されています。
「吉田茂コーヒー」と「藤村コーヒー」は酸味を抑えたフレーバーとのお話でした。
お一人様やカップルならば、オーナーのコーヒーを淹れる姿をカウンター越しに眺めて待つのも雰囲気に浸れて良いかと思います。
2種類のランチメニュー
平日のランチは足柄牛のビーフカレーとお店の人気No.1のこゆるぎランチになります。妻はこゆるぎランチを注文しました。
美的センスとは無縁の人生を過ごして前期高齢者を迎えた私も、このワンプレートのバランスの良さにはしばし見とれてしまいました。聞けばオーナーは中学時代は華道部だったとのことで、野菜の盛り付けにはひと工夫しています。
この角度では見えませんが葉物野菜はブーケ仕上げになっており、何と7種類の野菜を「詰める」のではなく美しく「飾る」見せ方をしています。
さらにニンジン、うずらの卵、鶏肉、ウィンナー、ごぼうサラダと盛りだくさんです。これをスープカップの後ろにある「ピタパン」に詰めてかぶりつきます。
こちらのピタパンは、野菜と肉のハーモニーを優しい風味のドレッシングが見事にまとめています。
野菜は全て地元産です。ぜひ、周りの目を気にせずに思い切りかぶりついてください。
年齢を問わず皆様喜んで召し上がっています。一日のお客様の注文がこれだけだったという日もあるほどの人気メニューです。
土日限定のスペシャルメニュー
私はがっつり食べるハンバーガーを注文しました。
こちらのハンバーガーのポイントは何と言ってもこの色!!練りこんだというより竹炭そのもののような色味のバンズです。竹炭を使った食品にありがちな、苦味や違和感は全くありません。かえってレタスやトマトやマスタードの鮮やかな色味を引き立たせる大事な役目を果たしています。
ハンバーガーのレタスが丁寧に何重にもたたまれている食感が新鮮です。トマトとベーコンとのバランスも最高!
レタスサラダのドレッシングはこゆるぎランチと同じもので、酸味の苦手な私も食べやすいマイルドな風味です。
どちらのランチメニューも、テイクアウト可能だそうです。
他には、土日限定の30cmのホットドックも人気です。
ランチにはコーヒーと紅茶から好きな飲み物を選べて、さらに牛乳の寒天という昭和世代には懐かしいデザートが付いてきます。
コーヒーは豆本来の風合いを活かした爽やかなブレンドで、ブラックでも飲みやすい口当たりです。年齢を問わず好まれる味わいを感じました。
オーナーにお話をうかがいました!
オーナーは、以前は大磯の旅館で24年間働いていたそうです。
窓のイラストにも描かれているオーナーのお母様はパンとお菓子のお店を営んでおり、地元の皆様に慕われる存在だったとのお話でした。
コロナの影響でオーナーは一旦退職してお母様とのんびり暮らしていたそうです。そんな中でも「またいつかお店をやりたい」と話していたそうですが、当時お母様が86歳で高齢のため難しいと躊躇されていました。
その後大磯迎賓舘の方から後押しを受けて「パン屋の富田」をオープン。お母様はオープンを見届けてその半年後に他界されたそうです。6月でオープン3周年を迎えましたが、お母様は幸せだったろうなと感じました。
パン屋の富田
住所:神奈川県中郡大磯町東小磯88-6
アクセス:JR東海道線「大磯駅」徒歩約7分
店休日:月曜日、火曜日
営業時間:11:30〜17:00
電話:0463-57-2534