箱根駅伝の名所・松並木をながめながら蕎麦が食べられる名店|大磯「松涛庵」

国道一号線沿いの大磯中学校から西に250メートルほど続く松並木は、かつて関ヶ原の戦いで勝利をおさめた徳川家康公が、東海道に宿駅を作るために整備したもので、400年以上の歴史のある場所です。

箱根駅伝では、この大磯の松並木街道を選手たちが駆け抜けていくシーンが放映される、大磯ならではの名所でもあります。

この通りを車で走っていると、落ち着いた雰囲気の「松涛庵(しょうとうあん)」という蕎麦屋さんがあります。
国道一号線のこの付近は中央分離帯があるため、東京・横浜方面から車で来た際には先の信号でUターンをすることで駐車することができます。

建物の色合いや看板・のれんが歴史を感じさせる風格

お店の正面と横に駐車場があり、停められる台数には余裕があります。
2階には「石臼挽き」、入口には「本日穴子あります」という看板が立てかけられていました。

ちょうどお客さんが途切れたタイミングで店内の写真を撮ることができました。

4人掛けのテーブルと靴を脱いで上がる掘りごたつ調のテーブルがあり、いずれも木目調で落ち着いた雰囲気です。

壁にはお品書きが丁寧な毛筆でしたためられていました。

大磯といえば!?各界大物たちの額縁

大磯といえば真っ先に名前が挙がる吉田茂氏をはじめとした、名だたる政財界の大物たちが居を構え、大磯で外交ができるとまで言われた町。

その似顔絵が壁に飾られていました。

写真は一部ですが、数多くの著名人のサインが飾られており、色紙の色あせ具合から長年にわたってテレビの取材などでも利用されていたことがうかがえます。

温故知新・メニューはタッチパネル式

コロナ対応なのか、メニュー表示や注文方法はタッチパネル方式となっています。
蕎麦、丼、おつまみ、甘味などジャンル別になっていて選ぶのが楽しい!

蕎麦を食べたくてメニューを眺めていたのですが「天ざるそば」と「天ざる御膳」ってどう違うのだろうと気になって探してみたらタッチパネルで調べることができました。

「そば」は蕎麦の実をそのまま石臼で挽いて製粉(北海道母子里産)した蕎麦で、
「御膳」は蕎麦殻が入っていなくて真っ白の蕎麦(更科の手打ち)でした。

私たちは蕎麦殻の風味も味わいたくて「そば」を注文することに。

みずみずしい緑の景色が見える窓際は特等席

待っている間、店内をきょろきょろと観察。
国道を挟んで松並木の景色が見える窓際は特等席!待っている間も贅沢な気持ちにさせてくれます。

海苔の切り方が斬新な蕎麦に目を奪われる

私が注文した「天ざるそばセット(オプションでおにぎりをプラス)」が運ばれてきました。

まず目が行ったのが「海苔」。
ふだん食べている蕎麦のような刻み海苔ではなく、大きく切られた海苔が6枚のっていました。
刻み海苔みたいに歯につかなくていいかも。斬新ですね。

蕎麦をリフトして撮ってみました。
つゆにつけてズルッ。

うん!おいしい!
蕎麦の香りが口いっぱいに広がります。
細い麺ですが、ギュッと締められておりコシもしっかり。

つゆはちょっと甘めで濃いめ。
ツルツルシコシコの麺とよく合います。

薄衣の上品な天ぷらも絶品

天ぷらはナス、エビ、キス、インゲンの4種で薄い衣が上品。
サクッと小さな音を立ててかみ切ると、インゲンはしゃっきりとみずみずしく、キスはふっくら。ナスやエビも火が通りすぎず食感が絶妙でした。

迷った穴子天ぷら、頼めばよかった〜!
キス天がおいしすぎて、穴子を注文しなかったことを後悔しました。

夫が頼んだのは「天丼せいろ」。
味噌汁付きで、見た目以上にお腹いっぱいになったそうです。
夫も「そば」の香りの高さと、天ぷらの上品な揚げ方に感動していました!

蕎麦を平らげてからおにぎりもパクリ。このサイズがちょうどいいのです。
中身は「昆布」でした。

箱根駅伝復路の名所であり、400年以上はるか昔、旅人の休息の場で旅程の目安にもなった一里塚や松並木を眺めながら、その時代の文化に思いをはせるのもまた、趣があっていいですね。

長きにわたり多くのファンが通う「松涛庵」に、みなさまもぜひ足を運んでみてください。

そば処 大磯松涛庵
住所:神奈川県大磯町東小磯305-7
アクセス:JR東海道本線「大磯駅」徒歩約10分
営業時間:11:00~20:30
定休日:木曜日、第3水曜日
駐車場:11台
HP:https://sobadokoro-syoutouan.jimdofree.com/

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。