情緒あるレトロな建物と季節の移ろいを楽しめる憩いの場所「大磯城山公園」

大磯城山公園は、国道を挟んで南北に旧三井財閥別荘跡地と旧吉田茂邸宅跡を整備した神奈川県立都市公園です。

シイやカシノキなどの豊かな自然の中に日本情緒ある茶室や古墳群なども点在する旧三井別邸地区、道路を隔てた旧吉田邸ではモダンな日本庭園やバラ園など、一日いても飽きない見所たっぷりの公園をご紹介したいと思います。

旧三井別邸地区はゆるやかな丘陵地にある散策コース

管理事務所からなだらかな坂を上って展望台に向かいます。
途中、犬の散歩中の方と何組かすれ違いました。
近隣の方のお散歩コースになっているようです。

展望台に到着しました。
ここは城山荘の本館があった場所で、その一部が建材に使われています。

天気が良ければ富士山がきれいに見え、毎年4月と9月にはダイヤモンド富士が見られるスポットとなっています。

展望台から東へおりていくと、大磯町郷土資料館があります。
(休館日月曜)

照ヶ崎海岸に飛来するアオバトなどのはく製や、大磯に生息する昆虫の標本が展示され、大磯に邸宅を構えた政治家たちの直筆の手紙や愛用していた椅子など、大変見ごたえがありました。
入館は無料ですが、撮影禁止なのでご注意ください。

さらに東へ進むと横穴式墓群があります。
10基ほどの横穴墓があり、土師器、須恵器、縄文土器などが発見されています。

西側へ降りていくと、城山庵(じょうやまあん)という茶室があります。
現在あるのは旧三井邸本館にあった茶室「如庵(じょあん)」を模して昭和2年に落城したもので、昭和11年に国宝に指定されました。

茶会や句会などにも使われますが、予約が入っていない場合は中に入って見学でき、日本庭園を眺めながら抹茶やコーヒーを季節にちなんだ和菓子と一緒にいただくこともできます。
畳とテーブル席があり、散策の途中で休憩するのにぴったりです。

旧吉田邸地区は庭園と建物のレトロモダンな佇まいがステキ

道路を渡って旧吉田邸地区へやってきました。

吉田茂氏はバラ、特に大輪のバラの花を大変好み、現在の駐車場の敷地も含め200種類ものバラが咲き誇る広大なバラ園を作りました。

昭和54年の大平首相とカーター大統領の日米会談で旧吉田邸が使われた際に、当時のバラ園は駐車場化されて縮小したのだそうです。
上皇后美智子様にちなんだ「プリンセスミチコ」をはじめ、エリザベス女王やケネディ大統領をしのぶバラも栽培されています。

4月上旬に訪れた際には整備中でバラの開花もまだでしたが、5月中旬には見頃となって一面いい香りに包まれることでしょう。

京の今日庵(こんにちあん)の表門を建てた職人を呼び寄せ、サンフランシスコ講和条約締結を記念して建てられた兜門(かぶともん)。
兜の形に似ていることから名づけられました。

屋根は檜皮葺き(ひわだぶき)と呼ばれ、30年に一度葺き替えをおこなうそうです。
現在の上皇陛下が訪れた際に車で入れるようにと轍(わだち)が作られました。
(実際には歩いて入られたそうです。)

旧吉田邸前を通過して海岸沿いまでやってきました。

すぐ近くに西湘バイパスが通っている場所で眺望が良く、相模湾や伊豆大島、伊豆半島、房総半島まで一望できます。

吉田茂像は昭和58年に建立され、その顔は講和条約を締結したサンフランシスコや首都ワシントンの方角を向いています。

七賢堂まで戻ってきました。

明治36年(1903年)、伊藤博文が自身の邸宅「滄浪閣」に岩倉具視・大久保利通・三条実美・木戸孝允の4人を祀った四賢堂を建てました。

伊藤博文の死後、夫人により伊藤博文を加えた5人がまつられ、「五賢堂」となり、その後吉田茂邸に移築され、西園寺公望を合祀し、「七賢堂」となりました。

現在は国登録有形文化財に登録されています。
ちなみに扁額の文字は佐藤栄作元首相が書いたものだそうです。

政界の大物たちが集うモダンな造りの邸宅と庭園

吉田茂氏が暮らしていた当時の邸宅を復元した旧吉田邸。
明治17年(1884)に吉田茂の養父である吉田健三が土地を購入し、別荘を建てたのが始まりです。

昭和20年(1945)から吉田茂氏がここを本邸とし、昭和22年(1947)に応接間棟が建てられ、その後も近代数寄屋建築で有名な吉田五十八による設計の新館など増改築がおこなわれました。

平成21年(2009)、本邸が火災により焼失。
平成29年(2017)に大磯町によって町有施設として復元・再建されました。

生まれ変わった旧吉田邸・内部は

1階の展示室では吉田茂氏ゆかりの映像が流れ、「バカヤロー」の言葉のオブジェが展示されていました。

食堂・ローズルームです。
窓からはサンルームも見えます。

応接間。船底天井になっています。
ソファーの奥に見えるのは暖炉です。

2階に上がると大窓からは富士山や箱根の山(明神ヶ岳、金時山)が良く見えます。

写真は心字池(しんじいけ)から見た旧吉田邸。
中島健氏設計の日本庭園は、梅やツツジ、藤や菖蒲などの季節の花々に彩られ、海外を飛び回った吉田氏の好みも反映してヤシの木なども植えられています。

どちらの地区も春は新緑、秋はモミジが来る人の目を楽しませてくれます。
さらに秋にはモミジがライトアップされ、赤と緑の幻想的な世界を堪能できます。

関東の富士見百景にも選ばれ、はるか昔の古墳時代からの歴史的な見どころスポットがギュッと詰まった大磯城山公園、みなさまもぜひ遊びに来てくださいね。

大磯城山公園
住所:神奈川県中郡大磯町国府本郷551-1
アクセス:下記参照
・電車、バス
JR東海道線大磯駅から神奈川中央交通バス
1、2番乗り場で、二宮駅行き、西公園前行き、大磯プリンスホテル行きで「城山公園前」下車徒歩約3分

・車
国道1号西湘バイパス「大磯西IC」より3分・小田原厚木道路「大磯IC]より7分
国道1号沿い「城山公園交差点」よりすぐ
HP:http://www.kanagawa-park.or.jp/ooisojoyama/

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。