大磯の手土産ツートップ、「新杵(しんきね)」さんの和菓子と並ぶのが、明治11年創業の老舗「井上蒲鉾店(いのうえかまぼこてん)」の練り物です。
大磯に自邸を構えた元首相の吉田茂氏がここのはんぺんを好み、黒塗りのロールスロイスが店に横付けされていた、などのエピソードも有名です。
いつもはお土産にいただくばかりですが、今回は自宅用に買いに行ってきました。
国道一号線さざれ石交差点近く、洗練された風格あるたたずまい
大磯駅から徒歩で10分弱、車で行くと店舗の左側に駐車場がありアクセスも良い場所にあります。
開店時間にはすでに外で待っているお客さんも。
私が伺ったときも次々とお客さんが入ってきていました。
入って正面にショーケースがあり、対面でオーダーするシステムです。
奥では店員さんたちが包装などの作業をされていました。
商品は「さつまあげ」「はんぺん」「かまぼこ」の3種類のみ。
保存料が入っていないので賞味期限は3日となっています。
人気のさつまあげはタラとグチ(イシモチ)の身を大理石の石臼で練りあげ、人参を加えて植物油で揚げた一品です。
店員さんのおすすめは生姜醤油をつける食べ方。
袋入りの刻み生姜も一緒に売られていました。
午後には売り切れてしまうそうなので、注意が必要です。
さつまあげは1枚90円、10枚900円からとなっており、はんぺん・さつまあげ・かまぼこを組み合わせたセットもあります。
はんぺんは吉田茂氏が新杵さんの虎子(とらこ)まんじゅうと共にこよなく愛した味。
こちらもつなぎをつかわず、グチの身だけを一枚一枚型に手取りして蒸しあげたものです。
店舗内で作られている名品たち
店内右側にはガラス張りの作業場がありました。
私がうかがったのはお昼過ぎでしたが、午前中には製造している様子が見られるそうです。
さらし袋での手絞り、手付けなど昔ながらの製法を変えずに今日の味を守り続けているのです。
購入したものは、月に1度の限定品である手付け豆板1本、はんぺん2枚とさつまあげ5枚のセットです。
この包み方が老舗ってかんじでいいですね。
わさびや保冷剤がさりげなく入っていて気づかいの細やかさに感動しました。
今回購入した豆板は職人さんが板に手付けしたかまぼこです。
かまぼこの包み紙もレトロでステキ。
原材料はグチと食塩・砂糖・みりんなどの調味料のみ、とシンプルです。
今までの概念がかわってしまう、ぶれないこだわりの一品
はんぺんは今まで自分が食べていたふわふわのものとは別物で、包丁を入れた時からわかるプリプリとした弾力があります。
断面もつやつやで美しい!
おすすめはワサビ醤油ということですが、保存料が入っていないため塩がしっかり入っているのでこのままでも十分です。
型に手付けされているため、繊維の方向がそろって独特の歯ごたえが生まれるのだそう。
つなぎを使わず、魚のうまみをそのまま蒸しあげた味わいとしっとりとした食感はかの名物首相がお気に入りだったというのも納得な逸品です。
さつまあげは植物油であっさりと揚げられており、もちもちむっちりした食感でかみしめると甘い!
もちろんそのままでもおいしいですが、生姜醤油がばっちり合います。
そしてビールが進む!
酒の席の手土産にしたら喜ばれそうです。
スーパーで買ったさつまあげは和え物や煮物に、野菜と一緒に使うことが多いのですが、こちらのさつまあげはあまり手を加えたくない、そのままを味わいたい一品です。
手付けのかまぼこは機械で付けられたものと違って武骨な感じ。
厚めに切ってワサビを添えていただきました。
魚のうまみがギュッと凝縮されていて濃厚な味わい。
こちらは日本酒、梅酒も合いそう。
賞味期限が3日ということで量を控えめに買ってきたことを後悔しました。
これ、いくらでも食べられます(笑)。
井上蒲鉾店さんではクール便で地方発送もしているので、ご自宅用にお取り寄せや贈答用の注文もできます。
店内にも配送用の用紙があり、すぐ持ち帰れない場合でも自宅まで発送してもらえるのでこれからの季節も安心です。
「大磯土産は井上にしろ」と人に勧めていたという吉田茂氏。
約140年もの間、地元の人たちに愛され、遠方からはるばる買いに来られる方もいるという井上蒲鉾店さんの練り物。
みなさまもぜひお試しください。
井上蒲鉾店
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1306
アクセス:JR東海道本線「大磯駅」より徒歩10分
電話番号:0463-61-0131
営業時間:8:30-17:00
定休日:水曜日
HP:https://oiso-inoue.com/