居酒屋兼カフェ兼本屋兼出版社?大磯の路地裏「茶屋町カフェ」

古民家カフェや隠れ家が話題となって久しいこの頃です。文化財に指定される建築物から市民の住まいまで、それぞれ「佇まい」が異なります。

築75年の木造平屋3棟を大家さんから任され、オリジナルの風合いを活かしてリニューアルしたオーナーのセンスはさすがです。
駅からは近いですが見つけるのにちょっと苦労するところが、この場所この店を愛する皆様の世界を保つのに役立っています。さっそくのぞいてみましょう。

路地裏一帯に広がるタイムスリップの時空です

大磯駅から線路沿いに二宮方面に進むと直ぐこの建物が左に見えてきます。画像左下のポストの隣の黒板が路地を曲がる誘導看板になっています。地図アプリでは入口は表示されません。

路地を曲がると右に見える電信柱の向かい側に、先程と同じ案内看板がひっそり出ています。車が通れない細い路地を右折して進みます。此処が異次元の入り口です。

正にモノクロ映画の舞台になりそうな横丁一帯が「茶屋町カフェ」として運営されています。
右が母屋のカフェ兼居酒屋で左が後程説明する本屋兼出版社です。奥のパラソルの左にはもう一つ別棟があります。

何と大晦日元日を含めて基本年中無休です。オーナーの下で働くスタッフの数は22名もおり全ての方が「兼業」です。なでしこ2部リーグの選手は昼間此処で働いて夜練習に参加しているそうです。
オーナーが出勤しない時でもオペレーションがしっかりしているので接客や注文に不安はないそうです。

中庭のテラスの奥の別棟は実は住居時代は風呂場だったそうです。この辺りにリフォームのセンスを強く感じます。イベントスペースとしても利用されるようです。

個人の展示やイベントには程よい広さだなと感じました。

母屋の造りに歴史を感じます

天井や柱に使用している木材は、重要文化財に使われる柾目の一本物とは異なる力強さを感じます。

漆喰のようなしつらえの白壁が年代物の材木とマッチして落ち着きを醸し出します。
日本酒の酒蔵で甘口辛口の定義を聞くよりこのチャートは遥かに判りやすいですね。
左の「早すし」は残念ながら取材当日は品切れの人気の品だそうです。

母屋の2階もカフェスペースになっているのでかなりの人数が入りそうですね。
開店時からランチタイムは相当忙しいらしいので、お時間に余裕のある時にお出掛けになる事をお勧め致します。

おつまみも食事もひと手間加えたものばかりです

古民家カフェは雰囲気重視でメニューは少ない所が多いですが此処は選ぶのに迷います。
2人連れならお店お勧めのおばんざい4品盛りプレートで何杯か飲めると思います。

一皿毎の量が居酒屋のお通しより遥かに多いので4人でも満足できると思います。
味付けは居酒屋にありがちな濃いめではなく、素材の良さを味わえるもので「次は日本酒」と言いたくなる優しさです。

下戸の私はランチメニューからみはる精肉店の炙りチャーシュー丼とスープを選びました。
因みにランチタイム以外でもオーダー可能とのことです。

チャーシュー自体もご飯にかけてあるチャーシューのたれも上品な味付けで、ランチでもおつまみでも楽しめる一品です。
合間にスープを飲むと出汁が味覚をよみがえらせるので他のおつまみと口の中でけんかしません。

こちらもお店自慢の自家製シューマイです。餡に程よい味が付いているので何もつけなくてもおいしく召し上がれます。

2種類あるブルスケッタから「小田原柚子と生ハム」を選びました。
生ハムの塩気の優しさが日本酒に合います。

飲み物とデザートも多彩です

大磯の地ビールはおばんざいに合うマイルドな風味です。

この時の季節限定のスイカサワーは冷凍したスイカを氷の代わりに入れているので時間が経っても薄まりません。見掛けによらず飲みごたえがあります。

デザートのバニラアイスにかかっているトマトピューレは最近流行りのフルーツトマトではなく、適度な酸味のあるトマト本来の味なのでバニラアイスの甘さが際立ちます。刺してあるのはドライトマトで、お汁粉の塩昆布のような箸休めの役割ですが燻製のような食感です。

離れの2階に現代では珍しいサプライズがあります

母屋の向かい側の棟の一階は地元の民芸作家の方の作品や個人書店への棚貸しになっています。

リノベーションしても昔の風合いを残すというのはこういう感じかと思います。

2階は恐らく自費出版等の書籍を印刷する工房になっています。

「アラ還」でも都会の方は現物を見た事がある人はそう多くないかも知れません。
全国に何台残っているか判らない「現役の」活版印刷機です。

レトロは建物だけではありませんでした。筋金入りです。
駅から数分でタイムスリップできる異次元空間にぜひ一度お越しください。

茶屋町カフェ
住所: 神奈川県中郡大磯町大磯1156-10
アクセス:JR東海道線「大磯駅」徒歩約2分
定休日:年中無休
営業時間:月~金 11:00-21:00 LO20:30
     土   11:00-22:00 LO21:30
     日   11:00-20:00 LO19:30
電話番号: 090-3801-5455 予約可
各種カード、電子マネー使用可
Instagram:@chayamachi_cafe

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。