現存する日本最古のツーバイフォー工法住宅 「大磯迎賓舘」

大磯は明治18年に日本で初めて海水浴場がオープンした由緒ある土地です。
伊藤博文が邸宅を構えたことにより、大隈重信等歴史上の偉人の別荘地としても発展してきました。

大磯迎賓舘と聞いて、「結婚式で行ったことがある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらももとは個人の邸宅でしたが、現在は国の登録有形文化財として保存運営されています。
今回は、レストランや結婚式場として利用される以前の歴史を中心にご紹介します。

駅から徒歩1分 大正モダンの木造洋館

大磯駅の改札を出て左に進むと、国道1号線につながる道の右側におしゃれな建物が見えてきます。
この大磯迎賓舘は、1912年(大正元年)に貿易商の木下建平氏がアメリカ帰りの建築家小笹三郎氏に依頼して建てたといわれています。島津藩所有の340坪の土地を買い取ったそうです。

当時流行していたアメリカ発祥のツーバイフォー工法の建築物で、国内に現存する住宅の中では最古のものです。木造3階地下1階で耐震性に優れた国産材を使用しています。
関東大震災では大磯駅をはじめ周りの建物はほとんど全壊でしたが、大磯迎賓舘はほぼ無傷で当時のまま現在にいたります。

オーナーは4度変わっており、競売に掛けられるところを2010年(平成22年)に大磯町が購入し現在まで保存管理しています。

1階にはセレクトショップが!

玄関を入って右側の部屋は、地元の芸術家の作品等が並び、大磯を知って貰うためのセレクトショップとして使用されています。

廊下奥の右側の部屋は、ギャラリースペースや会食の個室として利用されています。後ほど詳しくご紹介しますが、月に1、2回の見学会の集合場所にもなっています。

スリッパに履きかえて、2階へ

階段を上がってすぐ左の部屋は、婚礼打ち合わせや挙式当日の控室として利用されています。

大磯駅が見える窓からは、春になると八重桜を窓いっぱいに眺めることができます。

階段の右隣の部屋は新郎新婦の支度部屋として利用されているそうです。

実は、全ての部屋の窓がおもしろい構造になっています。

窓は採光性に優れたベイウィンドウ(台形の張り出し窓)ですが、窓ガラスは上下開閉です。

女性の力では上げ下げが重かったせいでしょうか。滑車と分銅を利用してスムーズに窓の開閉ができる仕組みになっています。
縦長の窓枠の裏にワイヤーと分銅があり、窓枠の裏に滑車が隠れています。当時のアメリカの流行だったのでしょうか。

大磯海岸の絶景を楽しめる!

階段の左奥には日当たりの良い部屋が2つあります。

ここは以前は寝室として利用されていたそうです。
大磯の風景と波と泡がモチーフのステンドグラスがあるこの部屋は、現在は会食の個室や婚礼控室、撮影室として利用されています。

天井灯の周りにはデザインが施された換気口があります。当時の洋館によく見られる造りですね。(現在は換気口は封鎖されています)

2階の一番奥が眺めの素晴らしいサンルームになります。

亀甲柄のステンドグラスを通して、眼下には相模湾が広がります。

目の前の屋根はレストラン棟です。別荘として利用していた頃は、海までの眺めはさぞ絶景だったかと想像します。

もう一度、外から見てみましょう!

三角屋根の左右から出窓が突き出しています。これをドーマー窓と言い、屋根裏の部屋の採光をよくするために設けられたものだそうです。ただし、構造上雨漏り対策には気を遣うそう…。

ランチならレストランはお気軽に利用出来ます

大磯迎賓舘の最初のレストランは、フランス料理の「ドウ・ゼ・アン」。
個室で食事ができるレストランで1989年(平成元年)から営業していました。ステンドグラスと2階の天井照明はこの時に改修しています。
かって日本庭園だった場所に現在のレストラン棟を増設し、2007年(平成19年)1月からイタリア料理「ヴェント・マリーノ」が営業を開始しました。
そして2013年(平成25年)にイタリアンレストラン「大磯迎賓舘」としてリニューアルオープンしています。

結婚式場のレストランと聞くと気軽には利用できないイメージがありますが、ランチのピッツァなら単品でもコースでもお手軽にいただけます。
イタリアで100年以上続く伝統的ブランドのピッツァ窯で焼いたピッツァは格別です。

写真のピッツァはコース料理の品になります。

もちろん、アラカルトメニューも地元の食材を使用した季節の逸品です。

大磯迎賓舘の見学会!

月に1、2回、火曜日に館内見学会が開催されているようです。
レストランと見学会の営業時間は異なりますので、それぞれチェックしてみてくださいね。

2024年1月から3月の館内見学会は以下の日程で開催予定だそうです。
1月16日、1月23日、2月13日、2月20日、3月19日、3月26日

ぜひ、大磯迎賓舘を訪れることをおすすめします!

大磯迎賓舘
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1007
アクセス:JR東海道線「大磯駅」より徒歩約1分
定休日:水曜日、年末年始
営業時間:ランチ 11:30-14:00(ラストオーダー)
ディナー 17:30-19:30(ラストオーダー)
※月に1、2回ガイド付きの館内拝観日があります(繁忙期はお休みあり)
電話番号:レストラン 050-3385-0013
見学会予約 050-3385-0418

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。